田宮流の由緒
・田宮流は、徳川将軍家にも認められた美しさと格式を誇る伝統的な居合道流派です。
・「美の田宮」「位の田宮」
・400年以上の歴史
田宮流(たみやりゅう)は江戸時代初期、剣豪として名高い田宮平兵衛成政(たみや へいべえ なりまさ)によって創始された居合道の伝統的な流派です。成政は戦国時代末期から江戸時代初期を生きた武士であり、数々の実戦経験を積んだ後、その豊富な知識と卓越した技術を体系化し、一つの流派として確立しました。
田宮流は成政が戦場で培った実践的かつ効率的な抜刀術を基礎としつつも、無駄のない動きと洗練された技術によって、美術的な美しさを併せ持つ独自のスタイルを生み出しました。特に刀を抜き、斬り、収めるという一連の動作は流麗かつ美しく、その優雅さが他の居合道流派にはない際立った特徴となりました。この美しさゆえに、田宮流はやがて「美の田宮」と称されるようになります。
また、その技術や形式に加え、精神性や礼節、作法を非常に重んじることで知られました。そのため、単なる技術だけではなく、格式や品位を追求する点から「位の田宮」とも称され、江戸幕府や徳川将軍家から高く評価されました。徳川将軍家は、田宮流の高度な武芸やその精神性を認め、幕府御用達の流派として正式に採用しました。これにより、田宮流は幕臣や旗本を中心に広く普及し、多くの武士たちがこぞって稽古に励むようになりました。
さらに、江戸中期から後期にかけては、田宮流の技術や精神が他の多くの武芸流派にも影響を与えるようになります。流派の型や作法は武士階級の礼儀作法や立ち居振る舞いにも大きな影響を及ぼし、武士道精神を形作る上でも重要な役割を果たしました。
このような由緒正しい歴史的背景を持つ田宮流は、その高度な技術と品格ある精神性を現代に至るまで約400年以上にわたり途絶えることなく継承しており、国内外を問わず高い評価を受け続けています。