歴史
・居合道は武士の実戦技術から精神修養の道へ進化し、世界中で愛されています。
・「抜刀術」とも呼ばれる実践武術
・精神修養や人格形成を目的とする「道」
居合道(いあいどう)は、日本の代表的な伝統武道であり、その起源は室町時代後期から戦国時代に遡ります。当時の武士たちは戦場において、敵の突然の攻撃に対して瞬時に刀を抜き対応する技術を磨いていました。この実戦的な武術は「抜刀術」とも呼ばれ、多くの武士が生き残りをかけて鍛錬を重ねていました。
江戸時代になると、戦乱が収束し天下泰平の時代が訪れます。すると、居合術は単なる戦闘技術の枠を超え、精神修養や人格形成を目的とする「道」としての側面が強まりました。刀の抜き納めの動作に、集中力や自己統制、礼儀作法といった精神性を見出すようになり、全国各地で多様な流派が発展していきました。
しかし明治維新後は武士階級が廃止されたことで、一時期は居合道を含む多くの武道が衰退の危機に陥りました。それでもその精神修養としての価値が再評価され、昭和期に入ると徐々に復興を遂げます。さらに近年は日本文化への関心の高まりや健康志向の増加も相まって、国内外で居合道を学ぶ人が増加しています。現在、日本国内の競技人口だけでも数万人を超えるとされており、年々その数は増加傾向にあります。
また、居合道は日本国内の学校教育や社会教育プログラムにも積極的に取り入れられており、地域の子どもたちから高齢者まで幅広い層が稽古に励んでいます。特に海外では、日本刀に対する憧れや侍文化への関心が高まっていることから、国際的な競技人口も増加しています。このように居合道は、伝統的な武術から現代に適した精神文化として進化し、世代や国境を超えて人々に親しまれています。